神戸に川西英という作家がいました。彼は、長崎絵や大津絵を参考に、神戸にも“神戸絵”をつくろうと考え、神戸の風景を版画にして広く後世に伝えようと活動された方です。その版画には、彼が生きた時代や様相、空気までも如実に感じとることができます。そんな作家の想いを参考に、私も神戸に魅了される一人として、その風景を留めていくことができればと考える。

神戸で過ごした浪人時代からほぼ四半世紀。自身の心の拠りどころとしての風景は、否応無しに変化し、特に神戸は震災の影響も大きく、ほとんど無いに等しい。しかし、車窓から眺めたいつもの景色や、入試に悩み気分転換に徘徊していた場面の記憶が、今と二重写しになって再生される時がある。そんな“らしさ”を感じるニアリーな場面をほんの少し留めておけば、先への足掛かりになる(かもしれない)とふと思う。