静寂なひと時 – 現場0304 – 2023-02-04

騒々しいけど小躍りしたくなる心地よい踊り場のような期間を過ぎ、現場は徐々に静かな様相に立ち戻っていく。
完成していくことで工種が減り、職人もいなくなるから当然のことなのだが、その静けさにものがなしさを感じるところもあったりする。

瞬間毎に技能を発揮する職人にとって、それを出し切ることが喜びであって、全体の完成については「喜ばしいこと」という具合に少し他人事になる。この頃合いになると「一つひとつの作業が職人の技を十分引き出し、手や記憶に刻まれるものとなったか?」と自問し、「まだまだか」と感じるところにものがなしさを感じる理由が一つあるのかもしれない。ただそれは前に進む一つの糧でもある。嬉しそうに笑って「なんでこんなんさせるねん」といいながら作業を必死に行う職人がいる現場、そんな理想像を想い描く。経験と技が手によって積みかさねられた空間は、即ち想いがつみかさねられた空間ともいえよう。それはイメージの焼増しやカタログのチョイスでは決して得ることはできないオリジナリティの拠り所となると思う。