成果の前の大事なひと時 2018-10-22

「ソメイヨシノも 場合によっては 実がつくらしい・・・」
打合せの帰り道、そんなことを思い出しながら、今年も咲き誇る桜の樹々を見上げた。

設計の成果品は図面、とも言えるが、図面に描かれたことを現実化することが自身の生業だ、と言い聞かせる場面が設計途上多くある。リアリティ漂う大海原を調整という櫂でただひたすら描き進んできた。振り返るととても不思議な設計という世界。設計者はある方向からだけ見ると写実画家か、それとも絵が描ける夢想家だと言えないことはない。ただ自身の生業は、人や社会のための建築を現実化するためにあるべきこと。しかし諸々それらの想いや調整の甲斐は、時によって失われ、築き上げたものが一瞬にして崩れ去ることもある。

その段階は大抵工事見積時にやってくる。ただ今回は、少しの調整で実を結ぶことができた。これほど嬉しくまた引き締まる時はない。設計が、観賞用のものではなく現実化のためにあることが立証された感を覚える。
この「場合によっては」をもう少し確実にできないものかと自身を顧みながら、桃色をみてホッとした。