周辺は閑静な住宅街。道路から1.5m程度上がったところに敷地はあり、敷地の中には高低差はない。既存の家屋が敷地北寄りに配置されており、周囲には様々な樹木が生い茂る。ただ、欠かさず手入れをされている様子で、多くの植生だが整い、制御されている感じを受ける。拝聴するところでは、気付いた時には大木であったとても古い樹や、鳥がタネを落としそのまま大きくなった樹もあるらしい。特に、敷地の北東にあるソメイヨシノは、園の中で一番古く、また一番早く咲くことから、園に春を告げてきた思い入れの樹。手入れの行き届いた庭には、うつろいを感じさせてくれるさまざまな要素が散りばめられている。過去にはこの庭に水を引き、いまで言うビオトープのような状態をつくり子供達に触れさせていたらしい。そうでなくても、もし自身が園児となれば、この庭を探検するだけでどれだけ嬉しく駆けまわったことかと回想しながら、様々なお話を伺った。

多くの植生は、うつろいと多様さを作り豊かな表情を与えてくれるが、様々な影も生じる。管理者としてならば回避したい影も多いことだろう。園を見守ってきた樹々の想いをどう汲みとり、新たな空間をつくるべきか。もの言わぬものに耳を傾けることが、とても重要になると実感する。
