二月も末、厳しい寒さが続く。
現場に建具障子が搬入され、吊り込み(設置)作業が進む。陽の光が差し込む内部は、外の寒さと比べ穏やかな気温でほっと包まれる感じを覚える。その感覚と共に、徐々に全体像をみせつつある内部を見ながら、これまでの工程を思い返し、早い時の流れに云々思う。設計者にとって、建築への思いを線に託すことが大きな生業の一つであり、それを実行している場が彼の現場になる。工事が行われている場は、それらの線を確認していく謂わば2次的な現場になる。しかし、その思いが現実に変わろうとする工事現場のリアルさは、彼の現場を圧倒する時がある。そのような時、自身の足りない部分を自覚せざるを得ない。線を引きながら、それを実現する際や経年後に伴う音や匂い、感触までもシミュレーションし、心に刻め込めているか?若かりし頃のアトリエでよくボスに言われたことだ。とても大事にしている部分なのに、養生が甘く汚れがついてしまった床材を見、監督に注意と修繕を指示しながら、これも自身のシミュレーションの甘さなのだろうと省みる。

